12月4日(水)、身延別院さまにおいて第9回海外布教講演会を開きました。国際布教師、ペナン一念寺前主任の伊藤悠温上人にお話いただきました。マレーシアのテータリック、スリランカのジンジャービア、シンガポールのビスケットを食べながらのほっこりとした講演会でした。
まず、東南アジア各拠点の現状をスライドショーや写真を使いながら紹介しました。毎週、各拠点では定期集会を開いています。日曜礼拝と平日の夜に集会があり、加えて旧正月のお祝い、清明節の先祖供養、釈尊の降誕と成道、涅槃を祝うウェサック祭、旧暦7月の盂蘭盆会、中秋節などお寺の年中行事として信徒が活発に参加しています。東南アジアでは5拠点、さらに未承認拠点のスリランカサンガがあります。現在3人の国際布教師が巡回して布教していることから、僧侶がいない拠点が毎週出てきますが、信徒が中心となって自発的に寺院活動を進めています。
国際布教の担い手不足が課題です。日本国外には30拠点ありますが、国際布教師は25人しかいません。解決法として現地教師の育成を進めていますが、日蓮宗の教えを伝えるしっかりしたノウハウがまだ確立していないので、日本人の教師の役目はまだまだとても重要です。海外に行けなくても、国外の活動を日本からサポートしてもらうと日本国外の日蓮宗信徒の心の支えになり、彼らの信仰が更に深まります。
また、伊藤上人は臨床仏教師としても活動されています。お経を読むだけで何もできない自分にもどかしさを感じ、ヘルパー2級を取得し、老人介護施設でボランティアをし始めたのが臨床仏教師になるきっかけでした。臨床仏教師認定後は、地元名古屋の施設で傾聴活動を行いました。ペナン一念寺主任になってからは、台湾の臨床仏教師の尼僧さんに紹介されたペナン一念寺から徒歩10分ほどにある施設に行き、傾聴活動を続けました。伊藤上人が特に重要視されていたのは、「聴く」ことです。「人の話を『聞く』ことは誰でもできます。心を込めて『聴く』ことをできているか。」を心に留めています。傾聴の方法をロールプレイしながら、実際に我々がするべき聴き方を説明してくれました。
質疑応答では、東南アジアでは清明節などで先祖供養をする習慣はあるが、先祖供養を主な目的にお寺に来ることはなく、毎週集まる定期集会で大勢の信徒と先祖供養する。日蓮聖人よりお釈迦さまを中心の話をする方が、日本国外の人にとっては日蓮宗の教えに入りやすい。など活発な意見の交換がありました。